2026年度に卒業研究として取り組むことをお勧めしたいテーマをまとめると以下のようになります.

 ※ただし,研究室としてはこれまでにない新しいテーマを発掘して新たなチャレンジを始めることもしてきていますので,何かアイデアのある人は相談を持ちかけもらえれば実現可能かもしれません.

 関根研究室では,教員と学生とで行うミーティングを大事にしており,学生は共同研究者としてともに議論を重ねつつ研究を前に進めていくことにしています.
 研究テーマとしては,「移動床水理学研究」と「都市水災害科学」に関する研究の二つが中核になっています.前者は,河川をはじめとした水成地形が姿を変えていくメカニズム(自律形成メカニズム)を探ることを目的としており,その延長上に自然豊かな河道の創造を可能とすることがあります.後者は,極端気象が進む中で東京などの都市も記録的豪雨に襲われるようになりましたが,東京のどこに浸水リスクの高い場所があるかを明らかにすることのできる予測手法S-uiPSを活用し,導かれたリスク情報をどう社会の防災・減災に生かしていくのか,その先にある災害に強い都市の創造に如何につなげていけるのかに挑んでいきます.また,豪雨および高潮による浸水だけでなく,荒川などの大河川の洪水氾濫についても研究の対象となります.
 いずれの研究とも現象をできる限り力学原理に忠実に踏まえて解明あるいは理解することを第一としています.一方,後者に関しては,浸水リスク情報を住民に届けること,その理解を深めてもらうことも重要な課題と考えていますし,VRやARを活用して画像情報を効果的に伝えていく技術を活用することも考えています.

1.「都市で発生する大規模浸水・地下浸水のリスク評価と群衆の避難誘導,豪雨に強いまちづくり」

 10年計画で進められている文部科学省DIASプロジェクトの研究課題として2021年度に採択されており,2022年9月1日から「豪雨時に発生する浸水をリアルタイムに予測するシステムS-uiPS (Sekine’s urban inundation Prediction System)」の先行公開が始まりました.2025年度から中野区と連携した社会実験を行っているほか,2026年度から新宿区と連携して検討を行っていく予定にしています.
 また,2025年に四日市市の地下駐車場が豪雨により水没するという被害が発生しましたが,東京には遥かに大規模な地下空間が多数存在しています.これらが都市浸水時の弱部となることから対策が必要ですが,この科学的根拠を提示するのが私たちの研究室の役目と考えており,地下鉄メトロや東急電鉄,新宿サブナードなどの地下街の管理会社と連携しながら,共同研究を進めてきています.2026年度は渋谷駅を中心とする大規模な地下空間からの利用者の避難経路にかかわる研究を行うほか,首都高速道路の地下環状線が冠水するリスクと,被害防止・軽減の方策とを探る研究を始めます.
 このほか,横浜市・川崎市を流れる鶴見川流域を対象として,2019年台風19号時にどのような現象が起こっていたのかを検証する研究も行うほか, S-uiPSを新たな地域に展開していく試みも始めていきますこれ以外に,住民が見て直感的に浸水リスクを理解できる動画の表現方法の研究や,VRやARを活用した仮想体験に関する研究にも取り組んでいきます.

  • (1) 渋谷の大規模地下空間を対象とした浸水時の避難誘導シミュレーションに基づく誘導戦略
  • (2) 東京・川崎・横浜で発生する高潮浸水のリスク評価と被害拡大プロセスの解明
  • (3) 首都高速道路の地下環状線の冠水予測とその被害軽減に関わる研究
  • (4) 火山灰で覆われた東京都23区の豪雨時大規模浸水予測と激甚災害発生シナリオの検討
  • (5) 東京以外の他地域へのS-uiPSの展開と対象地域の浸水予測
  • (6) 浸水リスクに関わる住民の理解向上を実現する浸水情報の表示・伝達技術に関わる研究

2.「河川の自律形成機能の解明と河道再生を可能とする数値予測技術の開発」

 水流による土砂移動 (すなわち「流砂」) のメカニズムには未だに解明できていない課題が多く残されているにもかかわらず,すでに十分な理解が得られていると錯覚している研究者や技術者が多数存在し,計算を行いその結果を完全に信じて疑わないという風潮すらあるように思われます.これに対して,早稲田大学では前任の吉川先生の時代からこの分野の研究をリードし,独自性の高い研究を続けてきました.今,社会が求めているのは洪水時であっても何とかやり過ごすことのできる「可能な限り自然豊かな河道」を創出していくことであり,そのためには「河道の自律形成機能」についての力学的理解が必要です.
このため,当研究室では,様々な観点から多くの基礎実験を積み重ね,そこから得られた科学的な知見を踏まえて,新たな河道再生技術を創り出していくことを目指しています.また,これまでになく精緻にこの変動を予測するシステムの開発も目指しています.

  • (7) 流砂理論の再構築を目指した移動床実験と数値シミュレーションによる現象の解明
  • (8) 降雨による土塊の浸食と流域形成のメカニズムの解明に向けた移動床実験と数値予測
  • (9) 粘土河床と砂礫河床の相互転移メカニズムの解明とその数値予測
  • (10) 河道の自律形成機能に及ぼす植生の影響の解明と自然豊かな河道再生に向けた研究

3.お知らせ

説明会の日時以外であってもご相談に応じたいと思います.何かありましたら遠慮なくこちらにメールを送ってください.

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